■ぶつかって他機に気付く
空中衝突は過密状態で発生するように思われるが、混雑していない空域で起きた件数の方が多い。ふっと気が弛み他機警戒がおろそかになる時が危ない。また事故者の多くが「ぶつかって初めて相手に気付いた」と言っている。
□HG×PG 風が弱まり飛行中の十数機が一斉にランディングしようとしたためLD上空が過密状態に。高度10〜15mで着陸進入中のHG右翼端とPG足が接触。PGはそのまま着地。HGは右翼端を破損して旋回に入り、回復できぬまま地面にクラッシュし大破。両者骨折。
□HG×PG 同じサーマル内で飛行中、HGの翼端とPGのラインが接触した際、PGフライヤーがHGフライングワイヤーを咄嗟に握り、またPGのカラビナ両方にHGフライングワイヤーがはまり、からみあって降下。双方緊急用パラシュートを開き、ほとんど怪我はなかった。PGフライヤーはいつもグライダーとハーネスをつないだまま収納。カラビナのロックの弛みを見落としたかもしれない。
□HG×PG HGが同高度のPG数機と遭遇。最も近いPGを回避したが、他のPGとからみ合った。PGの緊急用パラシュート開傘のショックで両機は分離。PG
は無事降下。HGはパラシュートを開かず、錐揉み/スパイラル状態から立て直そうとしたが回復せず地面に激突、死亡。
■思ってもみないことで……
人生はままならぬものと言うが……。この3人は人生最後の時に「まさかこんなことで」と感じたのではないだろうか。
□PG 大会中。高度処理をするAがブレイクダウンゾーン上空を通過。グライダーをたたんでいたBの頭部にAのハーネスが当たり、Bは死亡。
いかなる時も頭上に注意を払わなくてはいけない。人がいるゾーンでは互いに声をかけて注意をかんきしよう。(社長が栂池で談笑しているパイロットたちにしかっていたっけ)
□PG 飛行コースをそれたA級練習生が樹上に降下、宙吊りになった。着ていた防寒服のフードが木の枝にひっかかって首を絞めることになり窒息。
□PG 樹上に不時着。自力で降りようとして、木から落下。
■送電線は絶対に避ける
日本はいたるところに送電線が走っている。LDのすぐ近くに送電線があるフライトエリアも少なくない。線に接触したりぶら下がったり、多くの事故が起きているが、予め送電線の場所や高さを把握し、絶対に避けるという気持ちが必要だ。
電線の先には人々の生活があり、生命がかかっている場合もあるのだ。
□PG 飛行中に風が強くなり、前に出られなくなって流され、高圧線にかかり落下。翼面荷重が小さく、有効な降下手段をとれなかった。
■着水は恐ろしい
水泳が得意な人でも服や靴を身につけた状態ではうまく泳げない。ましてグライダーやパワーユニットを背負っていては、自由に動くことなどできない。
□PG フライトツアーで。LDに帰れなくなり海に不時着。カラビナをはずしたもののラインが足にからまり溺れる。
□PG 練習生が風に流されて海に落ち、救助しようとしたインストラクター2名も強い潮流にのまれて溺れた。
■飛行前点検さえ十分だったら
カラビナのかけ忘れ・ハーネスレッグベルトの締め忘れで多数が死亡している。また、しっかりかけたと思ってもこんな致命的間違いもある。
ハーネスのカラビナ装着部の下方にあるDリングに誤ってカラビナを装着。飛行中に突然グライダーとハーネスが分離し落下。
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